家の性能を示す数値を解説!C値、UA値、G2、等級3
date:2022.01.12
今回は、家の性能を示す数値を解説します。
「家の性能にはどんな基準があるの?」「C値やUA値って何?」「結局どの数値をみれば安心なの?」
といった疑問にお答えします。
最後には目安の住宅性能数値一覧も載せますので、ご参考にしてください。
簡単にでも、家の性能を自分たちで判断できれば、会社選びが楽になるかと思います。
家の性能を示す数値もくじ |
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1.家の性能を表す代表的な数値
「家」に関わる数値はたくさんありますが、まずは「自分たちの家が快適で長持ちしてくれるかどうか」を判断するための数値をいくつかご紹介します。
①C値:シーチ
②UA値:ユーエイチ(Aは実際は小さいAです)
③HEAT20のG2:ヒートニジュウのジーツー
④耐震等級:タイシントウキュウ
最低でもこの4つを知っておけば、自分たちが建てる家が暮らしやすいか、長持ちするかの判断がしやすくなります。
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読み方を知っていると |
2.C値=気密性能
C値はかなり有名になりましたね。お客様から尋ねられることもかなり多くなりました。
これは家の中の隙間の大きさを表す数値です。
隙間のサイズ(cm2)÷延べ床面積(m2)=C値となります。
1)小さい方が高性能
C値は、C値0.5とか0.09とか、小数点付きの数字で表されます。
数値の小さい方が気密性能が高いので、C値0.5よりC値0.09の方が隙間が小さい、ということです。
国が定めたC値の基準は、実は今はありません。
以前はC値5が定められていましたが、これは20年も前の省エネ基準です。
共感住宅レイアウトでは、下で述べる「気密の利点」を感じられる暮らしにするために、C値0.36以下を目安にしています。
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C値は小さい方が高性能 |
2)気密が良いとどうなる?
気密が良いことは、暮らしを快適にしてくれます。
①隙間風が抑えられ「なんとなく足元が寒い」がなくなる
②きちんと換気が出来るので家の中が爽やか
また、気密は湿気をブロックする防湿を兼ねることも出来るので、
③壁の中の断熱性能を保ち、家の柱を護る
気密がない家は、どんなに断熱性能が高くても、またどんなに耐久性に気を使っても、徐々にそれらが失われていくのです。
※耐久性は木造の場合です
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気密は暮らしを |
3)そのC値、いつの値?
C値は「気密測定」をすることでわかりますが、測定のタイミングも重要。
家づくりではたくさんの穴が開きます。エアコン、コンセントなどが代表ですが、これらを全て施工した後に気密測定することが望ましいです。
何故なら、それが一番「生活している状態」に近いから。
気密の施工が終わった段階で測定すれば、穴も少なくC値も良くなります。でも、それでは意味がないですよね。
「C値が良い家」ではなく「居心地の良い毎日」が欲しくて新築するのですから。
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生活状態に近い状態の気密が大事 |
3.UA値=断熱性能
UA値とは「外皮平均熱貫流率(ガイヒヘイキンネツカンリュウリツ)」のことで、家の壁や基礎、天井、窓などからの熱の逃げやすさを表した数値です。
1)小さい方が高断熱
UA値は、0.87とか0.3とか、小数点付きの数字で表されます。
数値の小さい方が断熱性能が高く、UA値0.87よりUA値0.3の方が省エネに過ごせます。
国が定めた平成28年の省エネ基準は、愛知県ではUA値0.87以下。
ただしUA値0.87だとあまり「快適かつ省エネ」な暮らしにはなりません。
さらに義務ではないので、0.87でさえなかなか適合した新築が増えないのも事実です。
国土交通省 住宅・建築物のエネルギー消費性能の実態等に関する研究会とりまとめより
ちなみに、UA値が0.46の家は、UA値0.87の家と比べて暖房に必要なエネルギーが半分で済みます。
理論値です。暮らし方や間取りによって冷暖房費は変化します。
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UA値は小さい方が高断熱 |
2)断熱性能が高いとどうなる?
断熱性能が高いと、
①冷暖房の効きが良くなり、1年を通してリラックスして過ごせる
②快適に過ごすために必要な光熱費が抑えられる
高断熱な家を十分に活かすには、きちんと冷暖房をすることが必須条件です。
確かに高断熱な家は冷暖房が足りていなくても通常の家より適温に近くはなりますが、それでも適温ではありません。
あるオーナーさんは、冬に1階のエアコンが壊れたとき「朝、室温は20℃あるんですけど、やっぱり寒いんですよね」とおっしゃっていました。
家族が健康で過ごせる室温での暮らしを体感しないとなかなかイメージするのは難しいですが、ぜひ断熱性能は冷暖房の効きを良くするためにある、と覚えておいてほしいなと思います。
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断熱性能は冷暖房効率を上げる |
3)その断熱、長生きする?
気密性能の項目でお伝えした通り、断熱性能を長生きさせなければ快適で省エネな暮らしを続けることはできません。
断熱性能を長生きさせるには、断熱材の施工方法、断熱材周辺の素材選びや施工、そして気密が必須です。
UA値はあくまでも設計段階での理論的な数字なので、実際にその性能が何十年先も続くかどうかは、施工者や設計者の技術と知識にかかっています。
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UA値が保てるような |
4.G1、G2、G3=区切り
1)グラデーションを階段に
最近目にされる方も多いと思います。
G1やG2というのは、HEAT20という団体が示している数値で、区切りです。
なんの区切りかというと、UA値=断熱性能の区切りです。
UA値は0.46や0.87などの数字で表されますが、区切りがないためグレードがわかりにくいです。
そこで、G1やG2でUA値を区切ることで、大まかなグレードが直感的にわかるようになります。
G1よりG2、G2よりG3と、数字が大きくなるにつれてUA値が小さくなり、断熱性能は良くなります。
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G1やG2で断熱性能をわかりやすく |
2)住んでいる地域で違う
実は、G1やG2の区切りとなるUA値は、地域ごとで違います。
UA値0.46の家の場合、愛知県ならG2グレードですが、北海道ならG1グレードです。
この違いは、冬の期間の最低室温や、暖房時に必要なエネルギーの削減率もみているから。
外皮の性能は、断熱材の厚みを増やしてUA値を上げればOK、という簡単な話ではなく、夏の暑さ対策や結露の事など、同時に考える事がいくつもあります。
お住まいの地域で、コストなども含めて、家族が快適で幸せに暮らせるかどうか、という視点を大事にしましょう。
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断熱性能は住んでいる地域に |
3)愛知県ならG2
愛知県ならG2グレードが今のところ最適だと考えます。
1Gだと少し足りません。
G3というUA値をもっと抑えた仕様も可能ですし実現していますが、材料や施工のコストがかかる割に、冷暖房費などのランニングコスト削減率はそこまで大きくないから、というのが理由です。
但し、これは今現在の話。
今後建材の開発が進んだり、効率の良い施工が確立されればG3がおすすめになるかもしれません。
電気料金が上がれば、G3必須となる可能性もありますよね。
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今現在、愛知県ならG2がおすすめ |
5.耐震等級=地震への強さ
最後は耐震等級。等級1から等級3で表されます。
ちなみに、耐震等級は申請をして認定を受ける必要があります。
1)問答無用で等級3
耐震等級は、等級3を取りましょう。
建築基準法では等級1以上あれば建てられることになっていますが、地震が来た時の耐久性は確実に劣ります。
地震の瞬間、命が護られるのは必須条件。でも、家に住めなくなったら、暮らしは大きく変わってしまいます。
住み慣れた大切な家に地震の後も住み続けられることは、身体の健康だけでなく、気持ちの面でも支えになります。
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耐震等級は3 |
2)「相当」には2タイプある
耐震等級3「相当」という表現には2タイプあります。
①構造計算をして等級3だと確認している。が、申請はしていないので等級3「相当」と言っている。
②構造計算はしていないが、壁倍率などから等級3「相当」だと言っている。
①のタイプであれば、申請さえすれば「相当」ではなく等級3と名乗れます。
工務店やハウスメーカーが「うちは耐震等級3相当です」と言っている時は、どちらの「相当」なのかきちんと確認することをおすすめします。
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どちらの「相当」か |
6.数値の指標一覧
家の性能を示す数値について解説してきました。
最後に、工務店やハウスメーカー検討の際に役立つ性能数値の指標をお伝えします。
C値 |
0.36以下 |
UA値 |
0.46以下 |
HEAT20の |
G2 |
耐震等級 |
等級3 |
□C値は、いつ測定したものかもチェック
□UA値は、気密(C値)が良い事とセット
□愛知県なら今はG2がマスト
□耐震等級3「相当」がどういう意味か確認
一番大切なのは、なぜ家の性能が必要だと思うのか、根本の目的です。
欲しいのは「性能の良い家」ではなく、「充実した時間」「いつでもリラックスできる居場所」「笑顔が増えること」。
私達は、そういう目的を叶えたいと、日々家の性能について知り、検討し、実践しています。
共感住宅レイアウトの清水がお伝えしました。