結露する家しない家~結露の本当の怖さと新築での対策~
date:2021.12.17
今回は、「結露する家しない家~結露の本当の怖さと新築での対策~」をお伝えします。
新築ヒアリングの際「今のアパートで困っている事」をお聞きすると、よく出てくる「結露がすごくて……」。
冬は毎朝玄関ドアの周りを雑巾がけする、というお話をしてくださったオーナーさんもいらっしゃいます。
窓にびっしりついた水滴で窓の下がびしゃびしゃ、ホコリと混ざって黒い汚れになるのを経験されている方も多いと思います。
このコラムでは、なぜ結露が起きるの?効果的な結露対策は?
結露の本当の怖さとはなに?
結露の起きない家はつくれるの?
こういったことを解説していきます。
これから新築される方で、結露に悩まされたくないご家族はぜひ読んでみてください。
本当に怖い結露とその解決方法 |
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1.結露の原因は?
結露の原因は、「水蒸気が水になる温度になっている事」です。
空気中には、水が気化した水蒸気があります。目には見えません。
水蒸気は、温度によって、水蒸気のままでいられたり水に戻ったりします。
水蒸気が水になる空気の温度を「露点(ろてん)」と言います。
これが、結露という現象です。
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露点に達した水蒸気が水になるから結露が起こる |
注意したいのは、温度差があるから結露するわけではない、ということ。
「空気中の水蒸気の量(=絶対湿度)」によって、結露する温度(=露点)は変わるからです。
2.結露が原因で起こる被害
1)目に見える部分で起こる被害
結露が起こると窓やドアの周りが水浸しになる。これはとても分かりやすい被害です。
ホコリがこびりついたり、カーテンが濡れて不快ですよね。
壁の表面が結露すれば、そこにカビが生えてくることもあります。
カビは黒いシミになって、見た目も汚い。健康への被害も起こります。
ただ、窓や壁の濡れや表面でのカビは、掃除が可能です。
怖いのは、掃除できない部分での結露です。
2)目に見えない部分で起こる被害
目に見えない部分とは、家の外側の壁の中です。
木造や鉄骨造の家やアパートは、壁の中に断熱材が入っています。
この断熱材で結露が起きると大変です。
まず、水濡れによって断熱性能が下がります。
すると、冷暖房の効きが悪くなり、光熱費が余計にかかります。
暖まりにくい部屋にいれば、風邪や体調不良などが起こりやすくなります。
また、水があるところにはカビが生えます。
壁の中のカビは掃除できないので、カビと隣り合わせで暮らすことになります。
そして、水は木を腐らせます。
柱で使われる木が腐ると、耐久性がなくなり地震などにとても弱くなってしまいます。
壁の中で起こる結露は、日々の健康や命まで脅かす現象だとご存じの方は、あまり多くありません。
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壁の中で起こる結露が怖い |
3.結露しない家は可能か
見える部分でも、見えない部分でも、結露は起こしたくない。
結露しない家にすれば、家族の健康や命、家そのものも守れます。
では、結露しない家にすることは可能なのでしょうか。
1)湿度を下げれば解決する?
最初に、『「空気中の水蒸気の量」が変われば露点も変わり、結露が起きたり起きなかったりする』とお伝えしました。
実際、空気中の水蒸気の量が少なければ、結露が発生する頻度は少なくなります。
例えば冬、外の気温が5℃の時。
部屋の中の温度が20℃、湿度が30%であれば、窓で結露しません。
※分かりやすくするため、窓の表面温度はガラス・サッシともに外気と同じとします
湿度を下げれば結露しないなら、除湿器をかければ安心!
……と考えるのは待ってください。
湿度が下がれば皮膚やのどの粘膜の乾燥、ウイルスなどの活性化、と健康にとってマイナスなことが増えます。
室温23℃、湿度50%を下回ると、特にインフルエンザウイルスが活性化するという報告もあります。
健康被害がなくても、乾燥による不快感を覚える方もいらっしゃいますよね。
そもそも家を建てるのは、家族みんなが楽しく幸せになるためではないでしょうか。
そのためには、出来る限りストレスなく健康であることが大切です。
部屋の中の湿度を下げないで結露を防ぐ、という考え方をしましょう。
2)人の健康、家の健康
結露は自然現象です。
露点になれば結露は起こります。
家を建てる時に出来ることは、壁の中でなるべく結露させないようにつくること。
起きてしまう結露を最小限にとどめたり、壁の中を乾かせる仕組みにすることで、健康や命への被害を少なく小さくすることができます。
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壁の中で結露が起きないような工夫が重要 |
4.理想的な結露対策の家とは
家を建てる時に出来る結露対策は、結露してほしくない部分に水蒸気を入り込ませないようにすることです。
そのためには、防湿・気密を高めた家づくりが必要です。
水蒸気は粒がとても小さいので、空気や水が通らない穴でも通り抜けてしまいます。
C値という気密測定の値は空気の漏れを測っているので、C値が優秀でも水蒸気まで通さないかどうかはわかりません(指標にはなります)。
気密層が水蒸気まで通さないような材料選びや施工がされているか、ここがチェックしたい点です。
ただ、施工中の実物を見たとしても判断するのは難しいのが実際のところです。
大工さんや現場監督の方々でなければ、きちんと施工できているのか、材料は正しいのか、わかりません。
そこで、いくつか質問することをおすすめします。
「気密測定はいつされていますか?そのタイミングなのは何故ですか?」
「どうして結露が起こりにくい(しない)と言えるのですか?」
「結露が起こるとどうなりますか?」
こういった質問に丁寧に答えてくださる工務店やハウスメーカーさんで、自分が納得できる答えであれば、安心してお任せできるのではないかなと思います。
ちなみに、防湿・気密を高めると隙間風が減り、暖房効率や快適感も上がります。
更に計画換気を確実に行えるようになるので、一石三鳥ほどのメリットがあります。
家の性能は、まわりまわって様々なところで暮らしを快適にしてくれるのです。
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結露対策には高気密 |
まとめ
結露は、家族の快適な暮らしや健康、そして命にも大きな被害を与える原因になります。
「結露しない」という言葉だけでなく、どこで結露を起こさないのか、どういった工夫をしているのか、
その点に着目して家づくりを進めていけば、家族の健康や命を守れるマイホームになるのではないかと思います。
家族を大切にできる家を、皆さんが建てられることを願っています。
共感住宅レイアウトの清水がお伝えしました。