街で出会った素敵な空間
date:2025.03.13

こんにちは、清水です。
昨年の11月に京都で開催された「京都モダン建築祭」レポシリーズの番外編をお届けします。
これから紹介するのはモダン建築祭にラインナップされた建物ではないですが、大変魅力的な空間をもつと感じたものです。
心惹かれた場所を皆さんと共有できれば嬉しいです。
何必館(かひつかん)の、緑の光
まずは祇園の「何必館」。
『没後30年 ドアノーの愛したパリ ROBERT DOISNEAU 展』が開催中で、有名な『市役所前のキス 1950年』が実際に見られるということで入館しました。
ドアノーが生涯にわたって撮影し続けたパリの人々の活き活きとした姿の数々に、温かい気持ちになりました。
展示を目当てに入った何必館ですが、最も強く感動したのはその建築空間でした。
照明が絞られ、暗い中できらめく石の壁のエレベーターホール。
エレベーター内の壁には木が貼られ、ぬくもりと重厚感を感じます。(無垢材ではありませんでしたが)
そして、圧巻だったのは5階の光庭。
エレベーターのドアが開いたかと思うと、目に飛び込んでくるのは鮮やかな緑。
石で四角く縁が切られ、床にはみっちりと茂る苔。
その苔の中から黒い木の幹が伸び、丸くくりぬかれた天井から空へ枝葉を伸ばしています。
奥には静かな和室。
和室と光庭の間には壁はなく、外のような中のような、あわいの場所をここまで濃く感じたのは初めての体験でした。
季節や天候によってまた違った姿を見られると思うので、次回近くへ行った際にもぜひ訪れたい場所です。
写真撮影NGだったのでスケッチです。
レトロモダンな時間を過ごす。ぎおん石 喫茶室
かねてから訪れたいと思っていたのが、「ぎおん石」の喫茶室。
1階は宝石店で、きらきらとした輝きに少し緊張しながらエレベーターで2階へ。
お目当ては、評判のレモンゼリーと、レトロモダンな内装です。
座ったのは窓際の小さな席。
ふかふかのソファに掛けながら、中庭になっている窓の外を眺めます。
ゼリーはヒスイのような透け感のイエロー。
口に含むと、レモンの皮の爽やかな香りと、程よい酸味が広がります。
添えられているクリームで口直しをしながら美味しくいただきました。
内装は、パープルのカーペット、オリジナルと思われる同素材のソファ、板張りの天井、円柱の石柱、そして壁から飛び出たボール状のウォールライト……。
独特な造形ですが不思議と居心地が良く、時間を忘れてしまいそうでした。
何必館とぎおん石喫茶室をご紹介しました。
京都にはもっとたくさんの心惹かれる空間があります。
時代や様式も様々なので、これからもたびたび訪れて、自分の好みの建築を探していけたらなと思います。