豪奢な中学校 at 京都モダン建築祭
date:2025.01.08
こんにちは、清水です。
皆さんは京都へ行ったことがありますか?
私は昨年11月、京都モダン建築祭に参加して、モダン建築をいくつか見学してきました。
愛知県の小学生は必ずと言っていいほど修学旅行で奈良・京都へ行くそうですね。
海外からもたくさんの人が一年中訪れる場所として、知らない人はいない都市だと思います。
さて、そんな京都市、実はモダン建築の宝庫だとご存じでしたか?
戦争や震災の被害が少なかったこと、そのうえで、建物を今日まで守ってきた人々がいること。
それが、京都にモダン建築が今も数多く残っている理由だそうです。
私が京都モダン建築祭に参加した日はあいにくの豪雨。
そのためかえって、どの建築物の中もほっと息を付けるような大らかで優しい空間に感じられました。
日帰りだったのであまりたくさんは見られませんでしたが、いくつかご紹介したいと思います。
元成徳中学校
公立の学校として京都市下京区高辻に建てられました。
設計者は残念ながら不明だそうですが、かのフランク・ロイド・ライトの影響を受けたといわれています。
驚くのは、公立学校らしからぬ出で立ち。
アーチで飾られた正面門をくぐると、タイル張りのホールが広がります。
梁の装飾のために専用の籠手(コテ)が作られたそうですから、その熱の入れようは相当なものだったと伺えます。
ライトの影響は、黄色い大理石を使って幾何学模様にデザインされた階段の手すりに見られました。
階段の段板も一見地味ですが豪華。
1枚の大きな石が加工されたものが3段、4段目からは欅の1枚板です。
近くて見ると何とも言えない艶がありました。
解説の方によると、こういった豪華なつくりは児童・生徒の保護者をはじめとした地域の人々の寄付によるものだそうです。
この学校周辺は呉服屋さんが多く裕福であったことから、子供たちの通う学校も良いものにしてあげたいと、と高級な素材や手の込んだ設計が見られる学校になったのですね。
地域の方の心意気は、「旧作法室」でも感じることができました。
作法室とは、作法や所作などを学ぶ部屋です。
こちらの天井が、なんと折上格天井……!
折上格天井(おりあげごうてんじょう)とは、格式の高い部屋に用いられる天井の造りで、寺院の本堂や大名の部屋などに取り入れられてきました。
正直なところ、豪華すぎるので見た時に笑ってしまいました。
こんな部屋でお作法を学べば気がギュッと引き締まり、生涯忘れないだろうなと思います。
今は祇園祭の山鉾連合会の方が利用されているそうで、現役の部屋というのも素晴らしいことだなと感じました。
山鉾連合会の方々以外にも、地域の学校として様々に利用されているようです。
素晴らしい建築がつくられ、長く利用されて受け継がれていくことは、簡単なことではないですよね。
地域の方の強い思いが、旧成徳中学校の今の姿を作っているのだなとしみじみ思いました。
さて、実はまだ見学した京都の建築があるのですが、長くなりそうなので今回はここまで。
次回はとっても京都らしい路地についてお伝えしたいと思います。
京都モダン建築祭 元成徳中学校のページ▶こちら