はじめて見るエッシャー
date:2024.09.26
こんにちは、清水です。
暦の上ではすっかり秋になりましたね。
今年の夏は楽しまれましたか?
私は会社の夏期休暇中に、豊田市美術館でエッシャーの展示を観ました。
(▶豊田市美術館HPへ「エッシャー 不思議のヒミツ2024.07.13-2024.09.23」)
エッシャーと言えば、誰もは一度は目にしたことがあると思えるほど有名な作家ですよね。
美術の教科書などで、鳥が魚に、魚が鳥に変わったり、図と地が入れ替わったり、どこまでも上りつつける階段だったり…‥。
作家の名前を憶えていなくても、仕掛けがある絵として記憶にある方は多いのではないでしょうか。
私も作家の名前といくつかの作品を知ってはいたものの、そういえば実際に観たことはないなと思い至り、豊田市美術館へ行く事にしました。
まず自分の知識不足に気づいたのは、エッシャーの作品が「版画」だった点。
図本では画材や技法まで分からないことが多いですが、エッシャーの絵も図柄しか見ておらず、版画作品だと今回の展覧会で初めて知りました。
展示されていたものは、リトグラフと木口木版が多かったです。
個人的には木口木版の構成と繊細な線に感動しました。
多色刷りの作品も沢山あったのですが、この繊細な作業を複数行ったのかと思うと、エッシャーの制作への熱意まで感じられ、大変興味深かったです。
図案の発想力、構成力、絵の中の物語性につながる想像力、版画の技術、全てにおいて優れていると感じました。
こちらは木版の作品。
木版画は、刃物などで図柄を付けた木の板にインクをつけて刷るものです。
木口木版は木の木口側を使うので繊細な線が掘りやすいのが特徴で、こちらの作品も緊張感のあるシャープな線が見事です。
陰影をつける際の線の太さや間隔などが洗練されていますね。
M.C.エッシャー『モンレアーレ回廊、シチリア』
こちらは、リトグラフの作品の部分。
リトグラフは平らな石などを利用する版画で、水と油が反発する事を利用します。
木版のように凹凸を付けないので、「平版」と呼ばれます。
手の動きが木版よりもダイレクトに画面に反映されるのが面白いですよね。
石の手触りが伝わってきます。
M.C.エッシャー『カストロヴァルヴァ』部分
SNSで知らない街の景色を見たり、動画で映画の解説を聞いたり、本当に情報が沢山ある有難い時代になりました。
ですが、実物を自分の目で見て感じる事は、世の中を飛び交うどの情報にもありません。
そんな当たり前の事を、エッシャー展を通して再確認したような、そんな夏の思い出です。
清水でした。