STAFF BLOG

坐漁荘の審美と実用

date:2024.06.06

こんにちは、PRデザイナーの清水です。

行楽シーズン、皆さまはどんなところへお出かけされますか?

 

先日、犬山市にある明治村へ行ってきました。

あまり詳しく調べていなかったのですが、大変広大な敷地で、15,000歩もあるいたのに自分自身驚いたほどです。

様々な地域から移築された建物が庭なども含めどれもゆったりと建っていて、ランドスケープとしても見ごたえがありました。

 

黄色いレンガが使われたフランク・ロイド・ライトの帝国ホテル中央玄関。

現存最古の洋式灯台である品川燈台。

小泉八雲が避暑につかった町家など、公共建築から個人宅、日本人設計者だけでなく海外の著名な建築家によるものまで様々。

 

その中で特に興味深かったのが、明治時代に2度内閣総理大臣を務めた西園寺公望の別邸として建てられた「坐漁荘」です。

 

坐漁荘は数寄屋造りの木造二階建て。

潤沢な資金のものとで設計・施工された家ですから、外観から大変見ごたえがありました。

大工さんはじめ職人の手仕事が集結した、いわば究極の注文住宅です。

 

「数寄屋造り」とは、SUUMOによると以下の通り。

数寄屋造りとは、“数寄屋風”を取り入れた建築物のこと。定まった様式はなく、<中略>、現代においては竹や杉皮、土壁など自然素材を取り入れ、それぞれの素材感を活かした和風建築も数寄屋造りと呼ぶ。ちなみに「数寄」とは、和歌や茶道、生け花などの風流文雅を好むことを指す。

「数寄屋造り」は「書院造り(書院、つまり書斎を中心とした武家住宅の形式)」を基本にしながら、風流で繊細、質素だが洗練された意匠が特徴。庭の自然で四季を感じられたり、周囲の景色を借景として楽しむ間取りが考えられたりしているのが数寄屋造りの魅力だ。

SUUMOより引用

 

「純和風な」とか「日本の自然を感じる」とか、人によってはそんな印象を抱くようなデザインですね。

 

京都出身の西園寺公望は、竹が大変お気に入りだったとか。

ですので、坐漁荘には様々な場所に竹そのものや竹のモチーフが施されています。

その中でも、ただの数寄屋造りでないな、と唸ったのが窓の竹格子です。

 

なんと、中に鉄の棒が入っているとか。

静岡県興津から明治村へ移築のため解体されたとき判明したそうです。

竹という軽やかで雅なものの中に、強固なセキュリティが仕込まれているという非常に面白い作りですよね。

 

面取りの柱や美しい欄間など審美的な家ですが、「竹に鉄」のように実用性も兼ね備える部分は他にもあります。

例えば敷居が低く、バリアフリーの観点があること。

坐漁荘が建てられた時、家主の年齢は70代(90歳で亡くなられるまで20年もあったとはいえ……!)。

住む人の暮らし、身体、その先のことまで考えると、やはりそういったデザインになるのだなぁと感じました。

 

その他、パノラマに窓からの景色が広がる2階のお座敷は言わずもがな。

窓ガラスには紫外線を通すものが使われ、日光浴という健康への意識がここでもうかがえます。

家を見るだけで、そこでの暮らしぶりや、何気ない生活のひとコマを感じられるようでした。

 

家があって暮らしをつくる。

叶えたい暮らしのために、家を用意する。

暮らしと家は両輪でつくり上げていくものという感覚をじっくりと味わえるお邸。

それが私の見た坐漁荘でした。

皆さんも、まだご覧になっていない方はぜひ遊びに行ってみてくださいね。

 

明治村HPへ

坐漁荘

OTHER STAFF BLOG

HOMEBLOGSTAFF BLOG清水 あかり坐漁荘の審美と実用