聴竹居とご近所さん
date:2023.11.26
こんにちは。PRデザイナーの清水です。
先日、スタッフみんなで京都へ小旅行へ行ってまいりました。
目的は聴竹居(ちょうちくきょ)。
昭和3年に藤井厚二によって設計された「環境共生住宅」です。
「環境共生」の名の通り、自然のエネルギーを活かして快適に、そして健康に暮せるようにデザインされた住宅。
快適に、健康に……どこかで聞いたような。
そうです。共感住宅レイアウトも、住む人が快適で、ずっと健康に暮せる家をデザインしていますよね。
温故知新、暮らし方が変わっても、人の健康にとって良いものはそう変わりませんから、
今回は学びのための旅行でもありました。
さて、聴竹居の設計はといいますと、やはり「夏を旨」とした建物だそうです。
京都の夏は大変暑いのですが、ガイドさんによると、聴竹居の中では5℃以上涼しいこともあるとか。
快適に暮らすため、家の建て方から設計されています。
家が建つ山の斜面を利用して基礎の下に風穴を通し、涼しい風が床下から室内に流れ込む空気の流れ。
熱い空気がしっかりと屋根に抜けるための通り道が随所に設定されていました。
また、水回りの清潔も快適で健康に暮すには大切ですよね。
昭和の初めごろは、台所は暗くてジメジメしていて、不衛生だったそうです。
そこで藤井厚二は、大きな窓から光を取り入れ、壁はタイルで清潔に保てるようにデザイン。
驚いたのは、生ごみを処理する専用の流しがあったこと。
まるでマンションにあるディスポーザーのようですよね。
キッチンはオール電化で、電気代がものすごい額だったとか。
見栄えにも大変気を遣われていました。
仏壇や神棚も戸棚に隠すとは、今のコンセントを隠したい気持ちに通ずるなぁ……とただただ関心。
固定観念にとらわれない間取りであると同時に、建築家の意図がそこかしこに現れていて、
なおかつそれが心地よい、そんな不思議な体験でした。
個人的に一番面白かったのは聴竹居の「ご近所さんづくり」。
元々は山1つが藤井の土地だったのを、逝去後、ご家族が少しずつ売りに出されたそうです。
その際、職業などを限定し、聴竹居に共感出来できる人を選んだ、とのこと。
結果、山全体が聴竹居を愛する人、聴竹居の思想に共感できる人の集まりになりました。
今は藤井の子孫ではなく、ご近所さんが聴竹居を守り、私達のような旅の人に語り継いでいるのだそうです。
空き家問題など「古い家をどうするか」は国レベルの課題。
また、相続など個人レベルでも大きな悩みごとの1つになっています。
自分の後の世代の事は知らない、という態度も否定はできませんが、
自然に手を入れてつくり、そこで長く暮らすのであれば、全くの無関係ではいられないと思います。
聴竹居のように伝え継いでくれるご近所さんを集めることは難しくても、
何かしらの形で構成に大きな負担をかけない家づくりができるのではないかなぁと考えます。
こういうのは、施主だけでなく、工務店など建築業界にいる人の責任でもありますよね。
清水でした。